BLADE BEAST
「眞紘…」

「…ん?」

「もうちょっと、」

「え?」

「もうちょっと…くっ付いていい?」

「………え?」




状況がつかめないような…少し困惑したようなそれが聞こえてきたけれど、私は構わずにまた眞紘の胸元に顔を押し当てて力一杯抱き着いた。

"俺にして"という言葉に答えていないことをそのままに、すっかり今までと態度を変えてくる私に驚いている眞紘まで放置した。




今はこうしていたかったの。

もっと眞紘に触れたかった。




「え?莉央…?」

「ん」

「…」

「眞紘だ…」

「…、」



何も返事をしてこなくなった眞紘は、しばらくしてからゆっくりと私の背中に手を回してくれて、私の頭に頬をつけるように顔を埋めてきた。

唇が少し触れる。

それにすら胸が反応するんだから病気なんじゃないかって思ってしまって。




「……莉央」





再び肩を掴んで距離を取られてしまった時には、名残惜しいような気持ちになった。
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