BLADE BEAST
「莉央。父さん達な、話し合って頑張ってみることに決めたよ」

「謝って済むものではないって分かってる…。でも知ってて欲しいの。私たちの莉央への愛は本物だって」






────あれから、それ以上何も言ってこなかった眞紘は私を家まで送り届けてくれた。

目を見開いて私を見ている晄をそのままに、私はあの場を直ぐに出て行って、それから…眞紘はただ頭を撫でるだけで何もしてこなかった。

それ以上の言葉も、何も。






もどかしいと思った。



闇に紛れて消えてゆく眞紘の背中を見ながら、同時に私もちゃんとしなきゃって、あることを決めて。

眞紘があれ以上何も言わなかったのは、私が晄と付き合っているって気持ちがあったのかもしれない。

……それをもどかしいって思うだなんて、それこそそんな資格は無いことに変わりはない。曖昧な気持ちだったそれを、確信に導いた今、私は晄にちゃんと言わなきゃいけない。




言って……それから、考える。

それからなら眞紘に堂々と近づける。



この苦しく、締め付けられるような感覚も、全部無くしたい。
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