BLADE BEAST
ちゃんと、区切りをつけた時には言ってみたい。



ふらっとどっかに行っちゃいそうなその背中を呼び止めて、飾り気なんてない、プライドも何もかも捨てたありのままの私で、言いたい。

本当に私を見ていてくれた人。

何食わぬ顔をして飄々としているけれど、実は誰よりも孤独で寂しい人。




族やヤクザのことなんて分からない。

だけど、それでも…私にできることをしてあげたい。





────私は昨日、眞紘の姿は見えなくなってしまってからもずっと一点を見つめて、確かな思いを胸に宿していた。






「確かに、父さんたちの愛情は切れてしまったのかもしれない。…だからといって開き直ってはいけないよな」

「私達にとって一番何が大事なのか。…それはやっぱり莉央だから、莉央の為にもう一度頑張ってみることに決めたのよ」

「莉央はもう高校生だし、静かな空間の方がかえって好都合だろうと甘んじていた。…本当にすまない。寂しい思いをさせた」

「私からも謝らせて。…本当にごめんなさい。莉央がまだ、私達があなたの親をやってもいいと言ってくれるのなら、またここに三人で住みたい」





そして翌朝も、私の世界はガラリと変わった。

深々と謝ってくる父と母。

かなりショックだったけど、確かに嫌いだとか思っていたけど、私は彼らを強く憎んでいたわけじゃなかった。
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