BLADE BEAST
「かわいー莉央ちゃんをこんなにしちゃってごめんねー?」

「………矢神≪ヤガミ≫……!!!!」

「ほらほら。どんどんくい込んでってる」

「……ソイツはっ…関係ねえだろうが……!!!」





矢神とは、この男の苗字なのだろう。只ならぬ殺気をこめて吐き出されたその言葉。

ジワジワと感じる痛みに眉を顰ませる私に、眞紘は怒りながらもめちゃくちゃ泣きそうな顔を向けてくる。




そんな顔……しないで。

私のせいだから、いいの。

これくらいどうってことない。アンタが傷つくより何倍もマシ。だから────どうか責任を感じないで。




「……ぁっ、」

「あー、いっぱい血が出てきたー」

「────矢神……!!!!!!」




痛みがどんどん鈍くなってくる。

理性を失ったように怒号を撒き散らす眞紘。

私の上に跨っている矢神という男は、さらに大きく口角を上げてナイフを突き刺してきて、生理的に──涙が溢れ出てきた。
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