BLADE BEAST
────息が………。





と、次第に呼吸することが困難になってくると刃先は私の喉元から離れてゆく。


「はぁっ……はぁっ…」


同時に矢神の体重も消え去ったのは、コイツが私の上から退いて立ち上がったからだ。

そして、すかさず身体を丸めて大きく息をする私は、出血のせいで身体が怠くなり、手も足も上手く動かすことができなくなった。




「莉央っ……!!!!」




だけど、眞紘を見ることだけは諦めなかった。

私は大丈夫だからって、伝えたくて。





「…おい。出てこい」

「へぇ!」





けれど、矢神は奥から誰かを呼んだ。

強ち、人質である私の監視役を置かせるってところだろう。そして、これは眞紘に対してもかなり有効だということ。

私のそばにヤツの手下がいれば、手を出すことは出来ないだろうって姑息すぎる手段。




「莉央ちゃんって眞紘にとって大事な子なんでしょ?」

「……矢神っ………!!!!」

「眞紘はなかなか尻尾出さないしガードも固いからさー結構大変だったんだよー?情報掴むの」

「………殺すっ……!!!!」

「でも残念だったねー。昨日眞紘がボコった奴ら、僕の下っ端の下っ端でさー、かろうじて意識があった奴からどうやら眞紘と宇喜多の間で一波乱ありそうだって情報もらったの。だからやるならここかなって」
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