仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
茅那ちゃんと他愛のない話をして楽しくて、今までのモヤモヤしていた心が晴れた気がして─︎─︎─︎夜。
「ただいま」
「あっ、お帰りなさい蓮司さん」
いつもより少し早く帰ってきた蓮司さんだけど、なんだかおかしい。
「あの、さ……咲良」
「どうかしましたか?」
「これ、買った」
蓮司さんが差し出したのは有名なケーキ屋さんのロゴの入った箱を差し出した。
「ありがとうございます……これ、蓮司さんが?」
「あぁ、何がいいか分からなくて敦志に付き合って貰ったんだが……参考にならず、全種類買ってきた」
全種類!? 確かに箱は2段になってるけど、ケーキ店のケーキ全種類買ってくるとは……。
「迷惑、だったか……? よく咲良はケーキ作ってくれるから好きなのかと」
「全く迷惑じゃないですっ! 大好きですっ」
「そ、そうか……俺も、好きだ」
私に対してじゃないことはわかっているのに『好きだ』の言葉にドキドキした。蓮司さんはなんとも思ってないんだろうなと彼の顔を見ると耳を真っ赤にしてそっぽを向いていた。
「まずご飯食べましょう! 今日はハヤシライスです!」