仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
◇両親に報告を。


 ─︎─︎あれから2か月。葵結さんにお願いした指輪が完成した。


「付けてみてくれる? サイズとか大丈夫?」

「はい、とても可愛いですっ」

「良かった。でも、咲良ちゃん。指輪妊娠中は外した方がいいわよ」


 妊娠中は……? どういうこと?


「妊娠中は浮腫むから指輪抜けなくなっちゃうらしいの。それにもし、帝王切開になったら切らなきゃいけないらしいから」

「えっ……そ、そうなんですね。知らなかったです」

「私は、紘くんのお義母さまに聞いたの。私と紘くんもいろいろあって妊娠中に結婚したから」


 そうなんだ……知らなかった。
 

「浮腫まない人もいるらしいけど、個人差があるからね。箱にネックレスチェーンも付けたから良かったら使ってね」

「はい! ありがとうございます、大切にしますっ」

「いいよ、こちらこそありがとうね。そうだ、この機会にお友達になりましょ! プライベートでお茶飲みに行こ?」


 お友達……! お茶……!
 憧れてた世界なんだけど……嬉しすぎる。しかも、こんな綺麗な人と。


「ダメかな?」

「いえっ! とても嬉しいです。ぜひよろしくお願いします」


 葵結さんとLINEの交換をし、次にお茶会の約束をしてから彼女の家を後にした。
 そしてやって来たのは蓮司さんの実家……稲葉家である。




< 47 / 56 >

この作品をシェア

pagetop