仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。


「咲良、私安心したよ。結構愛されてるじゃん」

「え? 愛なんてないよ、だって蓮司さんはいつも無愛想だし……はじめから愛さなくていいって言うくらいだし」


 レストランを出てカフェに移動して話をすることにした私たちは、卒業してからの近況報告をし合っていた。


「だけどさ、咲良は、こんなに可愛いのに好きにならない人いるかなぁって思うんだけど」

「何言ってるの、可愛いだなんて言うの茅那ちゃんだけだよ」


 可愛いなんてありえない、もし可愛かったら蓮司さん愛してくれるのかな……いやいや、ありえない。

 ないないない、絶対あり得ない。


「茅那ちゃんはどうなの? 彼とは順調?」

「あー……別れたよ! あいつ浮気したんだよ!?」


 浮気かぁ……もしかしたら、蓮司さんもしてるのかな。あの容姿端麗な彼ならモテるだろう。お見合い前、彼女がいたかもしれない。

 もしそうなら、私は邪魔でしかないんだよね。
















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