仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。


 駅から少し歩くと高級ホテルへ入り、エレベーターに乗り込むとレストランのある40階に到着。
 エレベーターを降りてすぐにウェイトレスさんの出迎えられ、レストランの中へ案内された。

 
「ね、ねぇ咲良……本当にこんな、場所いいの?」

「うん……だって、招待券渡したら案内されたし」

「個室ってVIPじゃん!!」


 案内されたのはテーブル席ではなくてまさかの個室で、私たちが座ると「失礼します」とウェイトレスさんが料理を運んできた。


「失礼いたします、稲葉さま」


 料理が並べられ美味しい料理を堪能した後、やってきたダンディーな男性が個室へと入ってきた。


「本日はお越しいただきありがとうございます。私、料理長の宮澤(みやざわ)と申します」

「すみません、私挨拶もせずに……改めまして、稲葉咲良です。主人がいつもお世話になってます」

「いえ……蓮司とは、昔からの仲でね。蓮司から招待券を催促してきたので驚きましたよ」


 え……? 蓮司さんは『貰った』と言っていたのに、どうして。


「奥さんは知らなかったのかな? これは怒られてしまうな。奥様とお連れ様に、特別にドルチェをお出ししますね」


 料理長が持ってきたのは、パンナコッタだ。イタリア料理のドルチェで一般的なのだけど、女の子がすきそな可愛いデザインで可愛くて食べるのがもったいなく感じだけど、美味しくいただいた。



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