溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

「それって、黒澤も一緒?」


うわっ、声がすっごく怖いんだけど。


「う、うん……」


正直に答えると、途端に不機嫌な顔になる凪くん。目はすわって口元から笑みが消える。


イケメンが真顔になるととっても怖い……!


ていうか、岡本先生はいなくて黒澤先生とふたりなんだけどね。……なんてことはもっと言えない雰囲気。


「行くなよ」


その顔から命令口調で言われたら、もう行くなんて選択肢はないも同然。


「で、でも……」


「でもじゃない。行かないでいいっつってんの」


引き留めるように、腕を掴まれた。


「それとも、乃愛は行きたいの?」


その手をグッと寄せれば、整いすぎたお顔が、私の地味な顔と今にもくっつきそうになった。
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