溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

……黒澤だ。


「まだいたのかよ」


とイヤミを言えば、ボールを投げてよこしてきた。


それに反応するのは当然で、しっかり受け止めた。


俺は、黒澤に目の敵にされている気がする。


……乃愛の素顔を知っている同士、それは言わずもがななんだろう。


二人三脚では未だに息が合わず、今日の練習ではアンカー勝負だったのに負けてしまった。黒澤が身勝手に動くから。


「おあいにく様」


黒澤は不敵な笑みを浮かべ、「集まれー」と部員に招集をかけた。


さっと集まる部員たち。


今日は顧問が会議で遅れるらしく、黒澤の考えたメニューをこなすことになっのたが……。


「……っはあっ……はあっ……!」


「ほらほらお前ら、どんだけ普段甘い練習してんだよ!」
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