溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

……え。なに、これ。


思考が一瞬停止した。


とにかく、目隠し状態だから、なにがどうなってるのかまったくわからない。


ハチマキの下で、ひとり目をぱちぱちさせていると、


「もーいーよ」


まるでかくれんぼでもしてたかのように言った凪くんが、私のハチマキをもとに戻した。


急に明るい光が目に飛び込んできて、目を細める。


今のは……なんだったんだろう。


まるでマシュマロでも触れたみたいな感覚だったけど。


「おーい、凪。こんなことでさぼってんじゃねーよー」


誰かが凪くんの名前を呼ぶ声がして、ハッと我に返る。
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