溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

少しすると、乃愛は完全に意識を取り戻し目を開いた。


「あれ……?」


まだ少し赤い顔で、不思議そうに俺たちを見る。


風呂に入ってたのに、気付いたら部屋に寝かされてたらそりゃ驚くよな。


「お風呂でのぼせて倒れちゃったのよ」


「えっ……あ……そっか」


乃愛は俺に目を向け……そして、すべてを思い出したようにうなずいた。


それから、スポーツドリンクを口に含んだりしていると、顔色も普通に戻ってきた。


「もう大丈夫そうね。でも、しばらくここで休んでなさい」


おばさんは安心したように和室を出ていった。


嶺亜にはいてもらいたかったのに、気を利かせたのかふたりきりになってしまった。


「ごめん……俺のせいで」


「ううん……私の方こそ、ごめんなさい。凪くんの話を聞こうとしないで……」
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