溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

中庭には噴水があって、その周りを囲むように花壇には色とりどりのお花が咲いている。


小さな鳥たちが、噴水で水浴びもしている。


ふふっ、可愛い。


そんな光景を眺めながらサンドイッチを食べていると、ふと、隣に誰かが座った。


ベンチは私ひとりのものじゃないし。


気持ち、反対側に腰をずらすと。


「逃げないでよ」


座っていたのは、新城くんだった。


「ひゃっ!」


思わず腰を浮かして、固まってしまう。


「俺見るといつもその反応だよな。俺ってお化けかよー」


髪の毛をわしゃわしゃしとかきながら、不満そうに唇を尖らす新城くん。


だ、だって……。


いつも新城くんは突然現れるんだもん。
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