極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



「どうだ、部活は楽しいか?」


 真っ直ぐ外を見たまま、飛鷹先生はそう訊いた。


「はい」


 まだ心臓の動きが激しい。
 そのせいか。
『はい』と一言しか言えなかった。


「そうか、それならよかった。
 何事も楽しむことが一番。特に十代のうちはな」


 真っ直ぐ外を見ていた飛鷹先生が私の方を見て笑顔でそう言った。

 その笑顔は純粋な子供のよう。


 ……なぜだろう。
 私の心臓、まだ激しく動いている。

 それどころか。
 さらに激しくなってきたような。

 どうしよう。
 このままでは。
 心臓がどうにかなってしまいそう。


「今週の金曜日はライブの当番か?」


 激しくなっている心臓の動きを心配しているとき。

 飛鷹先生がそう訊いた。


「いいえ」


 激しく動いている心臓をどうにかして治まらせようと思いながらそう返事をした。


「毎週金曜日の放課後は盛り上がるもんな。
 教師は直接見に行くことはできないけど、なんかこう熱気が伝わってくる」


 わくわくした様子でそう言った、飛鷹先生。





 飛鷹先生が言ったライブの当番とは―――。



 私が通っている高校の軽音楽部は。
 毎週金曜日、部員たちバンドメンバー数組が交代でライブをする。


 各金曜日、一組ずつ出演。

 ライブの時間は三十分間。

 場所は小さめの部屋だけど防音壁に囲まれている。


 そして。
 部員たちがライブをするのは、このときだけではない。

 他にも、入学・夏フェス・文化祭・ハロウィン・クリスマス・バレンタイン・卒業・ひな祭りなどのイベントの日にもライブをする。

 クリスマスの日は冬休みに入ってしまうため、その付近の金曜日にライブをする。

 入学の特別ライブは入学式の一週間後くらいにする。
 卒業の特別ライブは卒業式の一週間前くらいにする。

 他のイベントの日も、土日に重なったときは、その前の金曜日にライブをする。

 イベントの日は、毎週金曜日にしているライブよりも大掛かりなライブをする。

 場所も。
 毎週金曜日のライブのときに使用している部屋ではなく。
 特別に体育館で演奏する。

 イベントのライブのときは。
 部員たち全ての組のバンドメンバーが順番に演奏していく。



 そんな感じで。
 軽音楽部は私にとって、とてもやりがいを感じる部活。

 この部活に入部して本当によかったと思っている。


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