極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



「そっ……そういえば、隼理くん、
 さっきスーパーに行くって言ってなかった?」


 この微妙な空気を。
 なんとか振り払いたくて。
 とっさに話題変更をした。


「そうだった」


 よかった。
 話題が逸れて。


「俺の方から昼飯は夕鶴が作ったナポリタンを食いたいって言ってたのに、
 昨日、肝心のパスタを買い忘れて」


 えっ。

 隼理くんがスーパーに行こうとしているのって。
 それが理由?

 そのためなら。
 なんだか悪い。

 だから。


「隼理くん、わざわざ行かなくていいよ。
 食べ物なら、他にもあるし。
 今ある食材で何か作るから」


 何か他の食材があれば。
 何かを作ることができる。

 そう思った。

 のだけど。


「いいや、今日は夕鶴が作ったナポリタンが食いたい。
 だからスーパーに行ってくる」


 どうやら隼理くんは。
 どうしてもナポリタンが食べたいらしく。


「すぐ帰ってくる」


 そう言って、薄手のパーカーを着て玄関へ向かう。


 ここまでくると。
 もう止めることはできないので。


「うん、行ってらっしゃい」


 そう言って、隼理くんのことを送った。


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