元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

バンっと教室のドアを閉めて、僕は走った。

どうしようもない自分に腹が立っていた。

広瀬は好きだけど、今のままの関係でいんじゃないかなって思ってしまう。

同じ歌手が好きで、話す度、笑顔で楽しそうに話をする。

それが見られるのは、その時と、咲と話をしている時だけ。

その姿を見られなくなるのが、とてつもなく嫌だ。

走って僕は立ち止まった。

まだ昼休みだからか人がたくさんいて、
友達と話していたり、ふざけあったり。

楽しそうにしていた。

楽しそうに。

僕は息を切らして、下に俯いた。

広瀬のことが頭から離れられない。

本当は今駆けつけて、広瀬に言いたい。

言いたいよ。広瀬。

僕はまた自分の気持ちを蓋して、広瀬と向き合うだろう。

今は言ったら、今の関係性がなくなる。
広瀬が僕に振り向くまで。
僕らしくアプローチする、時間がかかっても…
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