幼馴染からの抜け出し方

「由貴ちゃん。どうしたの?」


 突然現れたかと思ったら抱きしめられて、私はまだこの状況をしっかりと理解しきれていない。


「めぐのことが気になったんだ。昨日、雨に濡れたから風邪引いてないかなって。おばさん、おじさんのところに行っているから、めぐは家にひとりでしょ」

「えっ、どうして由貴ちゃん知ってるの?」

「おとといだったかな。おばさんから連絡貰ったんだ。しばらくめぐがひとりになって心配だから、時々様子を見に行ってほしいって」

「お母さん……」


 まさか由貴ちゃんにそんな連絡を入れていたとは。


「今朝からスマホにメッセージを送っているんだけど返事が戻ってこないし」

「えっ。連絡くれた?」


 気が付かなかった。もしかして、昨日の夜にスマホを見たときの電池残量が五パーセントだったから電源が落ちているのかもしれない。


「だから心配になって、仕事が終わってからすぐにめぐの職場に行ってみたんだ。そうしたらちょうど社員通用口から出てきた鹿島さんって人が、めぐなら風邪で休んでるって教えてくれた」


 鹿島さんってゆかりのことだ。

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