またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「何のためにこんなことすんの?」

「え、ちょっ、リリカ?」

「わざわざ卒アル友達に借りてきてニヤニヤしながらみるなんて悪趣味すぎるでしょ」

「そんなムキになんないでよ。面白いよ、これ。あの子不登校だったみたいで写真の色一人だけ違うの。それがなんか心霊写真みたいでさ」

グッと奥歯を噛みしめる。

「全然面白くないから。人の過去ほじくり返して笑って……よくそんなことできるね」

あたしには分からない。杏奈の気持ちもすずの気持ちも。

「やめようよ。こんなこと。あたしは杏奈とすずに何を言われても萌奈と友達をやめるきはないし、萌奈の過去を知ってもあたしはどうも思わない。過去は過去でしょ」

思ったことを口にしただけ。でも、二人は目を見合わせて不愉快気に顔を歪めた。

「ふーん。別にいいけど。とりあえず、卒アル返してくんない?」

「返すから約束して。萌奈の前でこの卒アルの話をして不用意に傷付けようとしないで。いい?」

「そんなのうちらの勝手じゃん!!つーか、返してよ!!」

すずが卒アルを引っ張る。あたしはそれに抵抗した。

「約束してくれれば返すって!!」

「ちょっと、早く返しなよ!!!」

杏奈も加わってあたし達はもみくちゃになった。卒アルを取られないように必死に抵抗する。二人は取り返そうとアルバムの端を掴んで引っ張った。

「――あっ」

それは本当に一瞬の出来事だった。アルバムの角がすずの眉毛と目の間にぶつかった。
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