またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「そっか。それならよかった」

「……なんか疲れちゃったから部屋行くね」

「えぇ。夕飯まで少し時間があるから、休むといいわ」

これ以上母と顔を合わせて話すのは気が引ける。また私はきっと母に嘘をつかなければならないから。

濡れたバッグの中からタオルでくるんだスマートフォンだけを手に取り2階へ続く階段を上がっていく。

体が重たい。何とか自室に入ると、私は倒れ込むようにベッドにダイブした。

私はバカだ。大バカだ。

「っ……うぅ……」

うつぶせのまま枕に顔を埋めて漏れそうになる声を押し殺す。

一体、リリカちゃんに何を望んでいたの……?

話がしたい、友達が欲しい、人に優しくしてほしい、誰かと関わり合いを持ちたい。

私は誰かの特別な人に、誰かに必要とされる人になりたかった。

生きていていいんだよって、誰かに言ってほしい。そう思ってほしい。

人並みの幸せを求めてはいけなかった。そんな幸せを望めば自分自身も深く傷つくことになる。

期待するだけムダだ。私の儚い願いは叶わない。

リリカちゃんに出会う前の私に戻ろう。

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