またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「確かに青光高校の生徒さんみたいね。それで、萌奈ちゃんに一体何の用かしら?」

いまだに言葉の端々にトゲが感じられる。おばさんも個人情報うんぬんを気にしているんだろうか。

「実は、近くのコンビニでアルバイトしてて。萌奈、今日ちょっと元気なかったからスイーツでも買って届けようかなって」

「こんな時間に?」

おばさんはいまだにあたしに品定めでもしているような視線を投げかけてくる。

「バイト上がってすぐ来たんです。こんな時間になっちゃったのは申し訳ないんですけど……」

「そうなのね」

おばさんはあたしの顔をジッと見つめた後、「私は斎藤です。萌奈ちゃんのことは良く知ってるわ。案内するからついてらっしゃい」といって歩き出した。

ここから歩いて5分ほどの距離に萌奈の家はあるらしい。

偶然にもおばさんは萌奈の家の隣人だった。

肩にかけた買い物袋をよいしょっと声に出して肩にかけたおばさんに、

「重そうですね。持ちましょうか?」

と尋ねると、おばさんは「そう?」と言うと同時に「じゃあ、いいかしら?」とあたしに買い物袋を差し出した。

「萌奈ちゃんとはいつからお友達なの?」

「4月に同じクラスになってからですかねぇ。でも、前からあたしは知ってて。萌奈は全然覚えてなかったみたいですけど。その日から友達になりたいなって思ってたんです。でもなかなか話しかけるタイミングがなくて。最近はちょこちょこしゃべれるようになってきました」

といっても、あたしのほうから一方的に話しかけているだけ。

萌奈はあたしのことが嫌いなのかもしれない。

そう考えると、ちょっと落ち込む。あたしは萌奈のことが大好きだ。

だって、萌奈はあたしの恩人だから。

ポケットの中をぎゅっと握り締めると温かい気持ちになる。
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