こんなにも愛しているのに〜すれ違う夫婦〜
当日、
ましろにはきちんとお父さんとあの彼女に会うと
話をした。
ましろの気持ちを再確認する。

「お父さんと離婚してもいい?」

「うん。
お母さん、、、」

「何?お父さんに言いたいことがあったら、言っておくから何でも言って。」

「ごめんね。。。」

「なんで、謝るの?」

「私が見てしまったから、お母さんとお父さん、離婚しなくてはいけなくなって。
お母さんお父さんのこと大好きだったでしょ。」

ましろが涙ぐみながらいう。

「ましろ、、、そんなお父さんがああいうことしちゃったから、、、
ましろが謝る必要なんて
何もないよ。」

「でも、私が見てなかったら、お父さんとやり直せたかもしれない。
私には内緒で夫婦を続けられたかもしれない。。。」

あぁ、この子は何でもわかっている。
私が樹に最後まで振り切れない何かを残していることを。
きっと理恵は、ましろと話していてそういう私に気がつたのかもしれない。

「ましろ、、、
今何をすべきなのか、きちんと話し合ってくるから。
心配かもしれないけど、お母さんを信じて、
ましろはましろがしなくてはいけないことを考えて。
それは、お母さんたちのことで泣くことが一番じゃないと思うの。
もしそれが一番だったら、お母さんはこれからどうしていいか
とても困るわ。
ちゃんと話してくるからね。」

涙ぐむましろを何とか宥めて、
私は理恵のマンションを後にした。

誰もいなくなる日曜日に理恵のオフイスの応接間を借りた。
オフイスに着くと、
理恵が早くきていた樹にコーヒーを入れていた。
疲れ果てて俯く樹の姿に
私がくる前に相当理恵からお灸を据えられ、
余計に弱っていたのがわかった。

「樹くんは大体、あの林田と人生をともにしようと思ったのが間違いよ。
私なんか付き合って3ヶ月もしないで、あいつの本性に気がつきたのに。
あいつは、人を散々振り回して、自分は楽しかしない人種なのよ。
そんなのに20年近くも振り回されて。
けど、あんたも少しは林田を見習って、
開き直るところは開き直った方がよかったのよ。
真面目に自分の立ち回り方を考えるから、首がまわんなくなるんじゃない。」

「理恵、、、おはよう。」

「あら、まぁ座って。
コーヒーを入れるから。」

「ちゃんとコンビニ食を食べていたみたいね。」

私は樹に話しかけた。

「あぁ、まともに家に帰れる日はコンビニのお世話になった。
冷凍庫のおかずに手を
つけていいかどうかわからなかったから。」

「食べちゃってよかったのに。
樹が家で食べなかった日のおかずよ。」

「すまん。。。
電話をしよと思いながら、いつもそのタイミングを外していた。」

「もういいのよ。私たちの生活はそんなもんだと思っていたから。」

「男は仕事ができればいいんだってもんじゃないでしょ。
それだから定年になって家にいる生活になったら、
妻から愛想をつかされるのよ。
茉里さえいれば何も要らないって思っていたんだけどな。樹君は。」

「理恵、もう私たちの過去のことはいいから。」

過去と私が発した言葉に、
樹の手が握り締められたのを、目の端で捉えてしまった。

それから
3人言葉もなくコーヒーを飲んでいると
樹の携帯に彼女が事務所前に着いたと連絡が入った。

理恵がエントランスに出向く。
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