離れない。離さない。

わたしのウキウキが旦那さんに伝わって、

「良かったね」

って、頭ポンポンしてくれた。

「じゃあ俺そろそろ帰るねっ。家事しないとっ!また明日の朝来るからね」

「うん、ありがとうっ。気を付けて帰ってね」


ーー

ーーーー

「…寝れない」

あまりの喜びと興奮で、一向に眠くならない。

仕方なしにナースコールを押して事情を説明して、明日の朝にやっと取れるこの点滴に安定剤を注入してもらった。

その時、点滴の調整をしていた看護婦さんが
フフッと笑った。

「?」

…そう言えばこの看護婦さん、旦那さんが居るところでも、フフッて笑ってたな。

「あの…?」

怪訝に思い、声をかけると看護婦さんは優しそうな笑顔で「ごめんなさいね」と謝り、そして、

「貴女のご主人、奥さん想いで素敵ね」

羨ましいわ。と、ニコニコしながら応えてくれた。

「え?」

そりゃまあ、旦那さんは素敵なひとだけども…。

「貴女が手術を終えて病室に運ばれてちゃんと目が覚めるまで貴女の手を握ってそれはそれは心配そうな顔して貴女の傍を離れなかったのよ。
ご両親達が世間話で盛り上がったりしてても、ご主人は貴女から目すら逸らさなかった。素敵な人に想われて幸せね。羨ましくなっちゃったわよ」

「…ぇ」

嬉しさと恥ずかしさと感動が一気に押し寄せてきて、どんな表情をしたらいいのかもわからなくなってしまった。
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