心理作戦といこうか。
敏感な真琴はドアが開く音に目を覚ました。
自分で歩くつもりで立ち上がろうとするのを無視して彼女を横抱きにする。
柔らかい彼女の身体にドキッとする。

いい加減、仲直りをしようか。

「俺が買い物に行ってる間に来客があったことは知っている。」

「・・・。」

「ちゃんと説明するから。
 ほら。着いたぞ。」

玄関に着いたので真琴を下ろし、靴を脱がせ寝室へと移動する。

途中でねえ?と聞こえたので真琴と目を合わせる。
「・・・。鞄返して。山内さんにお礼がしたいの。」

…。

「真琴?今は俺たちの話をしているんだぞ。
 彼にお礼は俺からしてある。
 それに鞄を返したら真琴はまた脱走するだろ?
 しばらく俺が預かっておく。」

点滴の後で疲れたのか眠たそうな真琴はパタパタとゆったりなリズムで寝室へと向かう。
ちらっと振りかえり、目が合う。

「私が言うのも何だけど…玲くんはあの人が合ってると思うよ。
 今はどう思ってるか分からないけど、私は
山内さんのことをちゃんと知りたいなって今日一緒にいて思ったの…」

は?

「それは無理だ。」

もう一度、真琴を横抱きにし寝室へと連れていく。
二つ目の罰を与えるために。。。
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