心理作戦といこうか。
敏感な真琴は俺の態度に驚いたのか目を白黒させる。
丁寧に彼女の身体をベッドに寝かせ、躊躇いもなく休む暇もなく彼女を組み敷く。

「わあ!?」

反射的に逃げようとする真琴の掴んだ両腕をシーツに縫い付けるように力を強める。

「真琴がそんな態度だったら、俺にも考えがある。
 ここの部屋は他の部屋と違って外から鍵がかけられるようになってる。
 真琴がそんな態度なら常に鍵をかける。
 もちろん、真琴はこの部屋でゆっくりスマホで漫画でも読んでいれば良いよ。
 言ってる意味分かるよな?
 俺は真琴だけなんだよ。
 俺はいつだって真琴の事が好きだ。
 公園で初めて会った、あの日から俺は真琴一筋なんだよ。
 俺の気持ちは真琴のご両親、俺の家族には知れ渡っている周知の事実だ。
 真琴が何処へ逃げたって探し出すから。」

「・・・。」
グスングスンと子どもの様に泣く幼い姿の真琴が重なり、この姿を誰にも見られたくなく思いこの部屋に綴り付けようかと思ってしまう。

「真琴。ごめん。
 熱もあって、人見知りの真琴に会ったこともないやつがいきなり来てびっくりしたよな?」
そう言って、涙を拭う。

「……。あの人は誰なの?」

「あいつは、俺の研究チームの一人。
 大学の同級生が職場の同期になり助手になった。そんなところだな。」

まだ、不安そうな真琴を起き上がらせ頭を撫でる。
< 144 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop