心理作戦といこうか。
オフホワイトの木製の写真立てを手に取る。
シルバーのフレームにはオフホワイトのパールビーズでラッピングのようにコーティングされている。

真新しいそれは最近玲君からプレゼントして貰ったものだ。
他の写真立てとは違い一つの写真立てに四枚填めることの出来る作りになっている。

「ちゃんと撮れるかヒヤヒヤしちゃったよね。」

「あはは!それはスタジオにいた全員が思ってたよな。
 まさかあの絶妙なタイミングで目を開けてくれるなんてな。
 眩しかったか心配したけどその後直ぐに寝たから偶然だったんだろうな。」

「本当に。
 あんな騒がしいのに寝ちゃうなんてね。」

「それくらいの方が大物になるかもしれないぞ。
 まあ、鈍感は母親似なのかも知れないが。」

右上に青色の産着を掛けた息子が奇跡的に目を開けてくれた瞬間を撮ってくれた貴重な一枚。
その隣は家族三人が写った写真。
彼はブラックのスーツ姿、私はグレーの着物姿。
右下には両家揃っての写真を。
お宮参りを記念に写真館で撮影をお願いした時の三枚が填めてある。
左下には生まれたばかりの息子を玲君が抱きその隣に私が写った写真を。


この写真立てを取り囲む様に並べられた写真の様に彼にもいつまでも笑顔でいて欲しいと願う。

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