推しを愛でるモブに徹しようと思ったのに、M属性の推し課長が私に迫ってくるんです!
午前十一時五〇分 浮田課長視点
**** 午前十一時五〇分 浮田課長視点 ****

 
会議は無事に終わった。西浦さんが用意してくれたパワーポイントはよく出来ていて、本当に俺の資料を読み込んで作ってくれたのだと思った。
 
 
「西浦さんのパワーポイント良かったよ」
 
 
 西浦さんは少し顔を赤くして「ありがとうございます」と小さな声で返事をする。しかし、今日は本当に緊張した。緊張したのは統括部長に各部長達や他の課の課長へではなく、西浦さんに緊張したのだが……。

 
 俺がプレゼン中はずっと目を見開いて凝視しているのだ。俺は何かやらかしたのかと気が気でならなかった。しかも上手く出来た箇所など、余計にカッと目を開く西浦さんからどうしても注意が離せなかったのだ。失敗しようものなら、鞭で引っ叩くわよと言われているような気さえした。その西浦さんの態度が段々とご褒美のように思えてきた俺は、少し下半身を熱くしていたのだ。あの西浦さんの突き刺すような視線が……イイ!
 
 
「ちょと目が痛いかも……。少しトイレに行ってきます」
 
 
 あれ? 俺が妄想に浸っている間に西浦さんが会議室から出て行こうとする。まずい! 今は折角二人きりなのだ。この好機を逃がしたくはない!
 
 
「待ってくれないか!」
 
 
 俺は思わず声を上げて西浦さんを引き留めた。西浦さんは「はい?」と俺に不思議そうな顔を向けている。
 
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