婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ああ、問題ない」

店内全体を見渡せる特等席は、もはや彼のための席になりつつある。


「ライラ、後で占って」

占い業は、顔馴染みになったリピーターもそこそこいて、順調なんだけど……声がかかるたびに、なぜかルーカスが殺気立って静かに威嚇する。
そのせいでお客さんも萎縮しちゃって困る。営業妨害もいいとこ。


「ルーカス様」

そっとジャレットがいさめるも、効果はなし。
まあ、このお店にもルーカスにも遠慮のなくなった私は、完全に無視を決め込むのだけれど。


ルーカスは、相変わらず天気を知りたがる。それも、特に雨の日を。

この人は、雨の日こそ稼ぎどきな仕事をしているのだろうか?
だってルーカスは、私が雨が降ると言った日はお店に来ないのだ。










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