婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
…………

「あのぉ……あなた、なんでまたここに?」


あなた王太子ですよね?
国王陛下がご健在で、まだまた実権を握っているとはいえ、王太子であるあなたも、それなりに忙しいはずでは?


「この店が気に入ったからな。ライラとはもう見知った仲だ。アルフレッドと呼び捨ててくれてかまわない」


ですが、背後で睨みを効かす護衛騎士が、鬱陶しいのよ。圧がすごい。存在感ありありなのよ……


「ドリーといったな?ここは良い店だな。私を知った顔もないし、くつろげる」 

「ゆっくりしてくといい」


ドリー……女将としては間違ってないけど……


ちらっと私に視線を向けるアルフレッド。
ええ、そうですとも。私はあなたがグリージア王国の王太子だなんて、一切知りませんよ。

ついでに言えば、チェリーやグノー達従業員も、あなたの立場なんて興味もないでしょうよ。



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