白いジャージ ~先生と私~

家の前まで来て、怖くて仕方がなくて、涙が止まらない。


先生、もう最後だね。



「俺は、お前を好きでいるから・・・ずっと。それだけは覚えてて。」


「私・・・も・・・・・」




先生に引き寄せられた体は恐怖で震えてた。


大切なものを失うことが


こんなにも怖いなんて知らなかった。



力強いはずの先生の腕は

とても弱く

折れそうだった。



「なんで・・・・なんで別れなきゃなんねんだ・・・お互い好きなのに・・・」



ラジオから流れるビリー・ジョエルの名曲が


とても 悲しかった。



「その紙袋は・・・俺にくれないの?」

渡すつもりのない手編みマフラー。

「うん・・・ごめん・渡せないよ・・」


「頼む・・よ。頼むから・・・くれよ・・なお」



先生が泣いてる。


歯を食いしばり

泣いてる先生を

抱きしめたい。


「な・・・お・・・それ、お前だと思って大事にする・・から・・・くれよ、お願いだから・・・」
< 342 / 480 >

この作品をシェア

pagetop