白いジャージ ~先生と私~

ハンドルに顔を押し付けるようにして先生は泣いた。


私が渡した紙袋を大事そうに胸に抱いて・・



「先生・・・幸せになって・・ね・・今までほんとに・・ありがと・・」


先生は


何も答えずに


ハンドルに頭を乗せたままだった。




勢い良く車のドアを閉め、振り向かないで走った。


玄関のドアの鍵がなかなか見つからなくて・・・


振り向きたくなる。




こっち見てるわけ・・ないよね・・?



最後にもう一度


大好きな人の姿を目に焼き付けよう・・・



振り向いた先に・・


涙に濡れた先生の瞳・・



じっと私を見る先生は



無理して



少しだけ  微笑んでくれた。




< 343 / 480 >

この作品をシェア

pagetop