白いジャージ ~先生と私~

そんな生活にも慣れたある日の放課後・・・



長い廊下の向こうから歩いてくる先生を見つけてしまった。


先生は、私に気付かずに窓の外を見ながら姿勢良く歩いていた。



そのまま、知らない教室に逃げ込もうと思った。


その時、先生と目が合った・・・


久しぶりの先生の目は、とても寂しそうで・・・一人ぼっちの目をしてた。




やばい・・


泣きそう・・・



すれ違う瞬間に、


先生は


「さようならぁ~」


って。


他の生徒にもいつも言ってる挨拶。


他の生徒に言うさよさらと同じ言い方、同じトーンで。



私は・・・


「さよなら・・・」



その声が先生に聞こえたかどうかはわからない。



先生は振り向かない。


絶対振り向かない。


私は、先生の方を振り向いて、遠い背中を見つめた。



こんな日に、どうしてそのジャージを着るの?

私の大好きなその・・白いジャージを・・・


何度も見つめたその白い背中に・・・


「さよなら・・」


と呟いた。


先生は廊下の端まで行くと、振り返らずに階段を下りた。




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