綺麗になんてなれない

 優雅に紅茶を飲んでいたみきちゃんは、ああ、と頷いて紙コップをテーブルに戻した。

「三限は選択科目なの。私は取ってないから」
「あ、そういえば、みきちゃんたちの学科は三年生になったら選択科目ばっかりみたいだね。義之が言ってた」
「そうそう」

 笑って相槌を打ったあとで、みきちゃんはちょっと眉を寄せて変な顔をした。

「若葉ってさ、本当に義之くんと付き合ってないんだよね?」

 神妙に切り出された問いに、私はきょとんと目を丸くする。

「え、うん。何回も言ってるじゃん」
「何回も聞いてるけど、何回も聞きたくなるの。二人の距離やっぱ近すぎるもん」
「幼馴染だからねぇ」

 義之と私の実家は徒歩三分圏内のご近所さんだったので、それこそ生まれたときから一緒の間柄なのだ。
 同い年で、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学まで一緒とくれば、いろんなやりとりが「つうかあ」で通じてしまう。
 大学で知り合った友人たちには以心伝心やらテレパシーやら命名されている。
 男女の仲だと誤解されることも日常茶飯事だ。
 とはいえ、大抵の人は一度否定すればそんなものかと納得してくれるので、これほど何度も確かめてくるのはみきちゃんくらいだ。
< 7 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop