綺麗になんてなれない
多分、私の義之への気持ちがバレているんだろうなあ……と思いつつ、実情を相談するわけにもいかないから、今日も笑顔でしらばっくれるしかない。
みきちゃんはしばらく探るような視線で私をじーっと見つめていたけれど、黙秘の姿勢を貫く私の固い意志が通じたのか、諦めたように大きく息を吐いた。
「またそれなのね。家族みたいなもんなの? ――だったらさ、アレについてもビシっと言ってやったほうがいいよ」
「アレ?」
いつもとは違う話の成り行きに、私は戸惑う。
「義之くん、学内、他大学問わず、いろんな女の子と会ってるでしょ。アパートの近くで見かける女の子がいつも違うってサークルとかクラスで噂になってるの」
「ああ……」
それもバレてたんだ……。義之本人に隠すつもりがないから、こうなっても不思議はない。
「若葉もそういう相手の一人だなんて邪推する人もいるし。義之くんだけについて言われるならまだしも、若葉だって迷惑でしょ? ちょっと釘を刺しておいたほうがいいと思うの」
「そう、だね。ありがとう。心配してくれて。正直そういうこと言いにくくて。言えそうなタイミングがあったら言ってみるね」
友人の真摯な言葉に、後ろ暗いところのある私は煮え切らない答えしか返せなかった。良心が痛む。
「まあ、気持ちはわかるけど。迷惑だと思ったら遠慮しちゃダメだからね」
「うん、分かった」
素直に頷いてはみるけど、やっぱり私からは言えないなあ、と思う。
勝手に居心地悪く感じてしまった私は、次の講義の時間には早かったけれど、適当に理由をつけて部室から逃げてきてしまった。