教えて、春日井くん


真面目そうな男子の横には、俺の彼女がいる。思わず立ち上がろうとした俺の腕をあきが掴んで制止した。


「なんだよ」

「とりあえず見守っておけって。やたらに彼氏がでしゃばるとめんどくせーって思われるぞ」

「うっ」

そういえば俺、綺梨ちゃんが男子に声をかけられたり、ちょっかい出されているのを目撃して何度か邪魔してる。

嫉妬深くて面倒な男だと思われて、鬱陶しいってなって振られたらどうしよう。

マジで無理だ。綺梨ちゃんに振られるのが正夢になったら困る。


それにしてもまずい。あれは綺梨ちゃんの心を揺らすかもしれない。だって明らかにウブっぽい!



「……まずいんだよ、ウブは」

「いやなんなの、お前の基準。ズレてない?」

「違う。ズレてんのは俺じゃない」

真面目男子が綺梨ちゃんの目の前に立って、顔を真っ赤にしながらなにかを話しているのが見える。

嫌だ。見たくない。今すぐ引き剥がしたい。


「春日井、顔怖い」

「お前……自分の彼女が告白されてる場面見ても、冷静でいられんのか?」

「悪い、無理だな」

だろうな。秋も俺と同じで女々しいタイプだから、絶対ショック受けるし、邪魔しに行くだろう。

でも綺梨ちゃんは俺と付き合ってからの方が告白をされている。これくらい慣れなくちゃいけないのかもしれない。


けれど、真面目男子がなにかを言うと綺梨ちゃんが楽しげに笑った。

なんで告白受けてんのに、笑ってんの!?




< 144 / 182 >

この作品をシェア

pagetop