無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
その声に、善の手もとへと視線を移す。
たしかに、善の手にはパジャマが。
「じゃあ、先入っていいよ……っ」
「いいよ。凛李が先に入りなよ」
「私やることあるから後で大丈夫だよ」
「ここはレディーファーストでしょ」
「いやいや、善が入りなって……」
私が話す途中で善は私のほうへとどんどん近づいてきた。
私の目の前に立ち、「……じゃあさ」と言葉をもらす。
「内緒で2人で入っちゃおうか」
かがめてきたなと思ったら、あっという間に私の耳元に顔を近づけてきてささやくようにそう言った。
不覚にもドキッとしてしまった。
善の熱い吐息私の耳にかかり、さらに鼓動が速くなる。
「な、なに言ってるの……⁉︎」
「なにって、凛李がなかなか折れそうにないから提案したんだけど」
「……っ」