無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「若菜に似合いそうだなと思ってこの前買ったんだ。もしよかったらつけてほしい」



秦くんは紙袋から透明の袋を取り出し……その中にはゴールドの小さな花がついているネックレスが入っていた。



「なんで私に……?」

「彼氏いるの?」

「……」

「好きな人は?」



どうしてそんなことを聞くの?
それにネックレスのプレゼントなんて……。

だけど、秦くんがなにを考えていようが、ネックレスは受けとれない。
私は「好きな人はいるよ」と答えた。



「誰なの?」



問い詰めるように、食い気味で聞いてくる秦くん。



「秦くんに関係ないよね。それに、なんでネックレスなんて……」

「関係大ありだよ」

「どういうこと?」

「だって、若菜のことが好きだから」



秦くんの口から出た言葉はたしかに告白なのに、口調がいつも話しているときとなにも変わらないから違和感を感じてしまう。

秦くんが私のことを好き?

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