無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
1分ほど頭をフル回転させて、いいアイディアを思いついた。
瑠月の洋服を借りればいいんじゃない。
派手すぎず、地味すぎない洋服。
……生まれてはじめて、瑠月がいないときに瑠月の部屋に入った。
なんだか泥棒をしている気分だ。
両扉のクローゼットを開けると……そこにはきれいにハンガーにかけられた洋服たちと、白くて大きなチェスト。
その中から私でも着れそうな洋服を探すことにした。
善のお父さんを待たせてしまっているのだから、時間はあまりかけられない。
……探した結果、ネイビーのワンピースに、白いカーディガンを着ることにした。
こんな清楚な系統の洋服も持っていたなんて……。
オシャレとは無縁の私でも、このワンピースはすごくかわいいと思った。
メイクはできないので、メガネをしたままとりあえず髪の毛だけストレートアイロンをした。
うねりが取れただけでも、見栄えがよくなる。
私にできることはここまでだ……限界。