無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「隠したらなにもできない」
「……じゃ、じゃあ、善も脱いでよ……」
私がそう言うと、善は手をクロスさせてあっさりとTシャツを脱いだ。
善の裸を見たのは球技大会以来。
相変わらず引き締まっていて、6つに割れている腹筋が余計にドキドキさせる。
「触ってもいいよ」
「えっ……」
「そのほうが緊張もほぐれるんじゃない?」
善がそう言うので、試しに善の胸板にそっと手のひらを置いてみる。
女の子とはちがう硬い胸に、目の前にいる人は歴とした男の子なんだと実感させられる。
「どう? 落ちついた?」
「もっと緊張してる」
「意味ないじゃん」
たぶんこの状況で緊張しないなんて無理に近い。
この私が下着姿になって、上半身裸の善の脚の上に乗っていることだけでもすごいと思う。
覚悟を決めたんでしょ、凛李。
大人の階段をのぼるんでしょ……?
心の中で必死に自分に言い聞かせた。