恐怖ダウンロード
損失については割り切ったつもりだけれど、はやり不安と恐怖は毎回襲いかかってくる。


あたしは必死にそれを悟られないように演技をしていた。


その時、ウエイトレスがコーヒーカップをトレイに乗せてやってきた。


「ご注文のコーヒーです」


そう言ってあたしの前に置こうとする。


「え? 注文してないですよ」


声をかけた瞬間、慌てたウエイトレスがコーヒーカップをテーブルの上に落してしまっていた。


それほど高い位置から落としたわけでもないのに、コーヒーカップは熱いお湯をまき散らしながら砕け散っていた。


「も、申し訳ありません!」


ウエイトレスは即座に謝罪して、慌ててタオルを持ってきた。


「指、大丈夫?」


呆然としていたところで夢に言われて、自分の指を確認すると、かすかに血が流れ出していた。


割れたカップで切れたみたいだ。


「これくらい平気」


しっかり確認してみても、破片が刺さっているようには見えない。


ただかすって怪我をしただけみたいだ。
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