人権剥奪期間
☆☆☆

あたしたちが逃げてきたのは部室棟だった。


相変わらず他人の気配はくて、寒々しさを感じる場所だった。


トイレの個室に入り、鍵をかけてどうにか安心することができた。


「エリカから連絡は?」


聞かれてスマホをチェックするが、特に連絡は入っていなかった。


「エリカは大丈夫だと思うけど……」


それでも絶対だとは言い切れない。


もしかしたらあたしたちを探して屋上へ行っているかもしれない。


疑いだしたらきりがない状態だ。


「とにかく今はここにいるしかないな」


聡介の言葉にあたしは頷いたのだった。
< 152 / 182 >

この作品をシェア

pagetop