人権剥奪期間
「本当にごめん。まさか自分が選ばれるなんて思ってなかったんだ」


聡介が戸惑いながらあたしの肩を抱きしめてくれる。


あたしはその状態でしばらくの間泣いた。


どうして聡介まで?


そんな気持ちがグルグルと渦巻いている。


思わず叫んでしまいそうになり、聡介の胸に顔をうずめた。


「……あたしもなの」


少し落ち着いてきたとき、あたしは言った。


「え?」


「聡介と同じ」


そう言って身を離し、頬に張ってある絆創膏をはがした。


そこには001と書かれているはずだ。


聡介の目が大きく見開かれる。


今にも目玉が零れ落ちてしまいそうなくらいに見開かれた目。


「なんで!?」


聡介が叫ぶ。


「なんで恵美にまで数字が出てるんだよ!」


「わかんないよ。こんなの、ただランダムに選ばれただけなんだから」


やるせない気持ちが湧き上がってくる。


悔しいのに、悲しいのに、誰に文句を言えばいいかわからない。
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