セフレのテラダ
「いやもう、女と付き合うとか面倒くさくてさー」

24時間営業のファーストフード店。

結局テラダと私は、簡単なルール打ち合わせということでこの店に入った。

席に着くなり、テラダは口を開く。

「別れるだの何だの、なんかもう当分経験したくなくて。」

そんな偉そうな文句に、「ふうん」以外返す言葉が見当たらない。

お互い眠気覚ましのコーヒーを飲みながら、決まり事を話し合う。

1.会いたい時に会う
2.恋人ができたら終わり
3.終わったら墓場まで持っていく

これだけ。

後腐れなく別れるためのルール。

「ま、お互い面倒くさいことナシで!」

テラダはそう締めて、コーヒーを飲み干す。

完全なる遊び。

他にもそういう女がたくさんいたんだろうな。

サッサと終わらせてやる、こんなの。

私もコーヒーを最後まで飲むと、トレイにゴミを集めてカバンを持って立ち上がる。

「電車?」
「うん。」
「じゃー送ってくよ。」
「いいよ。」
「じゃー送ってかない。」

テラダが子どもっぽく笑う。

こういう笑顔に女は弱いんだろうな、なんて思いながらその顔を見つめる。

「惚れないでね。」
「惚れないよ。」
「良かったよ、サーヤが理解ある女で。」

全然褒められてる気がしない。

すごく、すごく、苦手なタイプだ。

私とテラダは、店を出たところですぐ分かれた。
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