セフレのテラダ
店を出たところで、不意にテラダが手を繋いで来た。

ビックリする。

「ダメ?」
「誰かに見つかったらどうすんの。」
「誰もいないって。」

テラダは笑う。
繋がれた手は離れない。

私たちはそのまま地下鉄に乗って、私の家に向かう。
いつものように。

テラダの足が慣れたように道を歩く。

テラダがうちに来るの、何回目だろう。

玄関。
ドアを閉めたところの狭いスペースにテラダと向かい合う。

テラダがそっとキスをしてきた。

そしてそのままお互いに腕を腰に回す。
なぜか懐かしくて愛おしい。

唇が離れる。

テラダが笑う。
私も照れて笑う。
テラダの笑いジワ。
ズルい笑顔。

もう一回キス。

テラダが靴を脱ぎながら、たまに唇が離れながらもキスを繋ぐ。

そのままベッドになだれ込む。

ベッドの上にふたり。
向かい合って座る。

玄関だけ電気が付いてる薄暗い部屋。
静かな空間に、ひたすら響くキスの音。

ねえ、テラダ。
私たち、セフレだよね?
ここに愛はないよね?

なんでこんなキスをするの?

好きになっちゃダメって、テラダが言ったんだよね?

テラダが静かに私の服に手を入れる。
優しく脱がされて、私の上半身が露わになる。

「さむい」
「俺もさむい」

テラダが布団をかぶる。

布団の中にふたり。
テラダが私の上に重なってくる。

肌と肌が触れ合う。
あったかい。
テラダの唇が私の体を下へ進んでいく。

私、テラダとのセックスが、やっぱり好きだ。
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