セフレのテラダ
ドライブ
12月になった。

出張から戻ってきた営業部の戸塚さんが声を掛けてきた。

「玉山さん、昨日の、まだ決裁されてないんだけど」

・・・やってしまった。

今日までに決裁を貰っておかないといけない文書、お願いされてたんだった。

どう考えても、今日管理職はみんな式典に出てて戻ってこない。

頭が真っ白になる。

「すみません。」
「えっ・・・すみませんって、ちょっとどうすんの。」
「急いで副部長に相談します。」

副部長も別の出張で夕方まで帰ってこない。

戸塚さんは呆れたようにため息をする。

「いいよ、俺から電話するよ。」

また強いため息をついて、戸塚さんは総務部を去っていく。

自分に失望する。

パソコンに貼られた「決裁もらう!」の付箋。

何やってんだ、私。
なんですっかり忘れてたんだろう。

いつもは優しい戸塚さんが相当イライラしていた。

もう社会人5年目なのに。
なんでこうなんだろう。

「こんな直前に回してくる戸塚さんも戸塚さんなんだから、気にすることないよ。」

ショックで立ち尽くす私に、隣の伊藤さんが慰めの言葉を掛けてくれる。

自分の仕事で頭がいっぱいになってた。

明日休みだからどこか気が抜けてた、と言うのは言い訳にしかならない。

心がゲッソリ痩ける。

仕事を進めるも、思い出してはため息をついてしまう。

最悪な金曜日だ。

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