セフレのテラダ
私は職場近くのカフェに入ってパスタとカフェオレを注文した。

今日何しようかな、なんて考えながら。

何度かテラダとのメッセージのやりとりを眺める。

テラダ、仕事まだ終わらないよね。
飲み会とか入ってそうだし。 

19時。
バッグの中から小説を出して読み始めた。

すっかり時間を忘れて小説に入り込んでいた時、テーブルの上のスマホの画面がパッと明るくなる。

画面に映るメッセージ。

テラダからだ。

「今仕事終わったんだけど、今日飲める?」

心が急に舞い上がる。
スマホを手に取ると、急いで返事を打つ。

「飲めるよ。」

テラダは20分後カフェまで来た。
いつもの顔に少し安堵する。

コートを脱ぎながら「もう飯食ったの」と聞く。

「パスタ食べちゃったけど、お酒飲めるよ。」

私の返事にふんふんと頷く。

「サーヤ、なんか今日テンション低くない?」
「えっ」
「いや、勘違いならいいんだけど」

モジモジする私の両手。

また思い出す、戸塚さんの呆れた顔。

胸がズシンと重くなる。

「ちょっと、仕事でやってしまったんだよね。」

テラダに言ったところでどうしようもないけど。
テラダが私をボーッと見つめる。

「おし!」

そう言って両手をパン!と突然叩いた。

「俺、今日は酒飲まない。」
「え?」
「行くよー」

テラダが立ち上がってコートを着始める。

「待ってよ。」

私もバタバタとコートを着てバッグを手に取ってテラダの後を追いかける。

「どこ行くの。」
「ん?ドライブ。」
「え?」
「行くよ。」

テラダは私の左手を引いて夜の街を進んで行く。

< 25 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop