ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】

「ねぇペリドット、今日は何を狩って来るの？
あんまり大物だとまたアメジストが困っちゃうよー？」

「また熊とかやめてくださいよー。
余ったお肉や毛皮、麓のお店まで売りに行くの大変なんですからー！」


　本日の料理係の心配をするローズに今月の会計を仕切るルチルが続けざまに呆れ顔になる。

　だがその程度のことでペリドットの気が変わることはない。


「獲物は決めてない。
目の前に来たヤツを狩ってくるだけだ」


　ペリドットは刀を納めた棚にある狩用の外套をざっくりと被り狩猟鞄を肩に掛けると踵を返しふたりの間を颯爽と通り抜けた。

　そして勝手口のドアノブに手をかけたところでふと止まる。