壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
新政府軍は高台に本陣を構えていたのだが、私たちが刀を手に斬りこみへ向かうと、こちらの方まですぐに来ることは予想していなかったらしく、すぐに陣形が崩れた。

私と斎藤先生はこれを好機ととらえ、次から次へと新政府軍の兵士を刀で斬りつけていった。

今回は最初からお互いの背中を相手に預けると決めてから戦いに臨んでいたため、私と斎藤先生はつかず離れずを繰り返しながら次から次へ斬りつけていった。

他のところでも新選組隊士と会津藩兵が刀を振るっており、考えるまでもなく、今は旧幕府軍が有利に見えた。

全体の数も圧倒的に旧幕府軍の方が多く、この勝負に決着がつくのは時間の問題だと思われていた。

もちろん旧幕府軍の圧勝で。

しかし旧幕府軍の勢いが衰えたのはそれからすぐだった。

旧幕府軍が、とりわけ新選組が有利に戦えていたのは、刀の扱いが群を抜いて優れていたからだった。

刀と刀の勝負で新選組は負けることはないというほど、この日のために残った新選組隊士は稽古をつけてきたのだった。

そしてそれは功を奏した結果をもたらしていた。

新選組は誰一人として斬られることなく、次から次へ進んでいったのだった。
< 165 / 271 >

この作品をシェア

pagetop