壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
誰にも壊せない壬生狼の恋
一さんと別れてからひと月半後、ついに一さんが戻ってきた。

「遅くなってすまない。
愛望を驚かせたいと思ったらどうしても半月待ちたかった。

俺たちの新しい住まいへ行こう。」

すっかり私の体調は回復しており、時々松本先生に診察してもらいながら、おなかの子は順調に育っていた。

私と一さんは松本先生にお礼をして東京を後にした。

汽車で揺られること半日、ついに私はこの時代の盛岡へ降り立った。

「このまま家で休んで、明日体調が良ければ石割桜を見に行こう。」

斎藤先生が半月ほど遅らせてから私を盛岡へ呼んだ理由は石割桜の見ごろを迎えるころに一緒に来たかったからだと言ってくれた。

東京よりも北にある盛岡は桜の開花が少しだけ遅い。

私には一番いい姿で見てほしいというのが一さんの考えだったらしい。

てっきりそれは石割桜のことだけを言っているのだろう、そう思っていた私はこの後すぐにかなり驚くことになった。

「ここが俺たちの家だ。

子どもが生まれたら男の子なら庭で剣術を教えてたいな。
女の子だったら何をすればいいのだろう…

すまないな、ずっと男に囲まれた生活をしていると何も思い浮かばない…」
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