望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「そんなにクッションが好きなのか?」
ベッドに横になった彼女は、気持ちよさそうにクッションを抱いている。
「ソファもベッドも……無駄に大きくて、一人だと物寂しいんですよ……」
「お前、起きてたのか?」
突然俺の質問に答えてきたため、起きているのかと思ったが、次に聞こえてきたのは小さな寝息だった。
寝言、だったのだろうか。
「……」
一人だと物寂しい、と確かに彼女は言った。
いくら寝言とはいえ、多少なりとも寂しさを感じているのかもしれない。
「素直に言えばいいのに」
こんな女、初めてで正直扱いに困る。
過去に付き合ったことのある女も香織も、素直で甘え上手だ。
よくブランド物のアクセサリーやバッグを欲しがり、買ってやれば嬉しそうに可愛く笑うのがたまらず、つい何でも買ってやりたくなる。
一方で彼女はブランド物に興味を示さず、調理器具や安いクッションで満足していた。
女はブランド物を欲しがると思っていたが、どうやら彼女は違うらしい。
おまけに俺の欲しい物を聞いて買おうとして来た時は本当に驚いた。
「本当に、変なやつ」
ベッドに眠る彼女に不思議と触れたくなり、ゆっくりと手を伸ばした時、不意にスマホが音を立てた。
見ると香織からの連絡で、有名ブランドの新作バッグが入荷したから買いに行きたい、という内容のものだった。